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攻撃を防いだわけじゃない。
意図的に当てられなかったんだ。
今の魔法は邪魔者……つまり周りにいた俺達を狙ったもの。
ターゲットは……俺じゃなかった。
「何で……?どうしてお前が……?」
「これで邪魔者はいなくなった。さぁ、俺と一緒に来てもらおうか……如月 皐月」
痛みなんて感じない。
ただわけがわからなかった。
どうして如月が狙われてるんだ?
答えを求めるように自然と龍牙に視線を送る。
そこで俺が目にしたのは、獲物を狙うように鋭い龍牙の眼。
何故か何も言うことができなくなった。
行き場を失った視線は再び立っている2人に戻る。
「さぁ、俺と来い」
そう言って如月に手を差し出す黒コートの男。
でも、
「嫌に決まってるでしょ。何でアンタについて行かなきゃいけないのよ!」
如月が言うことを聞くはずがない。
そもそも得体の知れない連中について行くヤツなんていないだろ。
「どうしても来る気はないと?」
「そう言ってるでしょ」
――しばしの沈黙。
やがて男はゆっくりとため息をついた。
「なら仕方ないな。無理矢理にでも連れて行かせてもらう!」
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