イレギュラー

23/36
前へ
/309ページ
次へ
瞬間、地面に押し付けられるような重圧。 呼吸がしづらい。身体が動かない。 ヤツが架神と戦っていた時にはまったく感じなかった感覚。 あぁ、そうか……。 改めて認識した。 アイツは、ホントに遊んでいただけなんだ……と。 「どうした?震えてるぞ?」 俺に向けての言葉じゃない。如月に向けての言葉。 当たり前だ。直接殺気を当てられていない俺がこの様なんだから。 「くっ……」 だけど如月は震える身体に鞭を打ち扇子を構えた。 そうか!それなら。 「氷結の舞」 男の歩み出そうとしていた足が止まる。 よし!凍っ―― 「こんなお遊戯で俺を止められるとでも思ったのか?」 やけによく聞こえる男の低い声。 バカか俺は。氷は炎で溶けるだろうが。 男は再び歩き始める。 何やってんだよ俺。立て。とっくに痛みは和らいでるだろ。如月が危ないんだぞ。 いくらそう思ったところで身体はピクリとも動かない。 すると男が口を開く。 「時間がないんでね……」 同時に、男の姿が消えた。 次に男が姿を現したのは如月の背後。手刀の構え。 「そろそろ終わらせてもらおう」  
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12223人が本棚に入れています
本棚に追加