12223人が本棚に入れています
本棚に追加
「チッ……」
男は一度舌打ちすると手当たり次第に龍牙を殴って引き剥がそうとする。
「何してんのよ……。アンタの能力ならそんなヤツ一撃でしょ!」
「わから……ねぇんだよ……。ぐっ!だから……発動後に……潰れる……がはっ!……あれは……使いたくねぇ。頼む、早く逃げろ!もう保たない」
如月は唇を強く噛み、龍牙を見ることなく俺達の方に走り出した。
同時に崩れ落ちる龍牙。
男はそんな龍牙を一蹴りすると再び如月の後を追う。
そこに響く数発の銃声。
咄嗟に横に跳び退く男。その横を通り過ぎていく銃弾。
如月を守るために立ちふさがったのは俺と架神達以外のみんな。
「いつまで倒れてるんだ、光輝!」
彩華の喝が飛んでくる。
おかしいよお前ら。
何で人のためにそんなに頑張れるんだよ。何で人のために命を懸けられるんだよ。
友達だから?大切な人だから?
バカバカしい。結局は自分の命が一番大事なんだよ。
そもそも何で俺はこんな戦いに巻き込まれてるんだ?
確かに平凡な生活に退屈を感じてたのは俺だ。日常を捨てて非日常を選んだのも俺だ。
だけど命を懸けてまでこんなことをするつもりはない。勝手にやってろ。
そう思ってる。それなのに……
それなのに――何で俺は立ち上がってるんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!