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「ほぅ。成長したな、神城 光輝」
確かに聞こえた男の呟き。
間違いない。アイツだ。俺がこっちの世界に足を踏み入れるきっかけをつくったヤツ……。
いや、今はそんなことどうでもいい。
「翔っ!上だ!」
「うん」
翔が上空を仰ぐと同時に、男が剣を振りかぶる。
振り下ろされた斬撃を、翔は双剣を重ねて受け止めた。
一瞬、男の動きが止まる。
その隙を見逃さず、俺と彩華は素早く懐に潜り込んで斬りかかった。
「甘い!」
だが男は自分の身体を軸に回転して剣を振るう。
おかげで俺達の攻撃は弾かれ、翔は少し後ろに吹き飛んだ。
くっ、強い。一撃が……一撃が入らない。
すると男の視線が俺を捉える。
マズい。体勢が……。
「っ!【光矢】」
俺は倒れながら腕を伸ばして矢を放つ。
咄嗟だったから1本しか放てなかったが、矢は男の顔面に一直線。
男は無理矢理腰を捻って身体ごと矢を躱した。
やっぱりダメか……。
諦めが頭をよぎる寸前、男がわずかに体勢を崩す。
っ!今だ。ぶっ放せ、嵐。
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