12223人が本棚に入れています
本棚に追加
――間に合うか……?
「【聖光防壁】」
俺の身体を光のドームが包む。
わずかに遅れて防御魔法越しに俺を襲う衝撃。
「ぐっ……」
詠唱破棄したとはいえ、上級魔法の威力は半端じゃない。
中級魔法で持ち堪えられるかどうか……。
そう思った矢先、ピシッとドームに亀裂の入る音。
俺は考えるより先に壁に手を当てて魔力を流した。
頼む。保ってくれ。
そんな俺の願いも虚しく、亀裂は止まることを知らない。
そして壁は、ガラスが割れたような音をたてて崩れた。
壁がなくなったことにより、目の前に迫る炎。
そしてそれは、
「ぐああああっ!」
俺の身体を容赦なく呑み込んだ。
熱い、と感じたのは一瞬。
痛い、と感じたのも一瞬。
防御魔法を張っていたからか、それとも俺の感覚がおかしくなったのか。不思議と痛みはあまりなかった。
やがて炎は消え、俺は崩れ落ちるように膝をつく。
着ていた制服は焦げ、身体のありとあらゆる所に火傷を負い、一言で言えば満身創痍。
「【聖光……天恵】」
回復魔法をかけるも、今の俺では火傷を治すので精一杯だった。
最初のコメントを投稿しよう!