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ハハッ……何考えてんだろうな、俺は。
しっかり避けてるし、死ぬ気なんてないじゃん。
そんなことを考えながら、男と戦ってる翔と彩華を見る。
翔は持ち前の手数の多さで、彩華は力強い連撃で男と斬り合っているが、男は上手く受け流して反撃。
坂上に視線を移すと、槍を支えに立っている龍牙に回復魔法をかけていた。
宮世と嵐は銃を構え、2人を助けるように発砲。
架神達も武器を構え、いつでも応戦できるように準備している。
みんな自分の役割を必死でこなしてるんだ。
――俺は……。
後ろを向いてアイツを見る。
コイツのためにみんな頑張ってるんだよな。
いつも冷たくて、怒りっぽくて、口が悪くて、最初の頃は喧嘩ばっかりだったのに。今ではそれが本心じゃないと思えるようになってきた。
過去に何があったのかは知らない。
でも……。
「な、何?」
「いや、さっきはありがとな。助かった」
再び前を向いて敵を見据える。
さて、行きますか。
俺は駆け出した。体勢を崩した彩華に斬りかかろうとしている男に向かって。
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