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「俺を忘れてもらっちゃ困るな」
すかさず２人の間に割り込んで男の剣を受け止める。
――重っ……！
ただ片手で剣を振るっているだけなのに腕にズシッとくる男の一撃。
ホントに本気みたいだな。
刀を持つ腕に力を込めつつ、近くにいた翔に視線を送る。
「はああっ！」
俺の視線に気付いた翔は小さく頷いて男に斬りかかった。
まずは右手の剣が振り下ろされる。
男は俺を押さえたまま身体を捻って躱す。
しかし翔は男が身体を捻った時から左手の剣を振り始めていた。
薙ぎ払うように横に一閃。
男は上体を反らし、わずかに遅れて翔の剣が通り過ぎる。
再び右。そして左。
右、左、と交互に剣を振るい、時折裏をかいて同じ腕を振るう。
息もつかせぬ連撃にさすがの男も呼吸が乱れてきた――なんてことはなかった。
反撃こそしないが、男はずっと俺を押さえたまま避け続けている。
避けてる間も一向に弱まらない押しに、俺も思わず力が入ってしまう。
そのせいで反応が遅れた。
気付いた時には男の前に立たされ、目の前には驚いた顔をして剣を振ろうとしている翔。
つまり俺は、盾にされたってことだ。
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