イレギュラー

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ってこんな冷静に眺めてる場合じゃねぇ! 「っ!」 翔は焦った表情で剣を止めようとするが、振り出した剣はなかなか止まってくれない。 ――止まらない! そう思って目を閉じようとした時、俺の首もとギリギリで翔の剣がピタリと止まった。 「くっ……はぁ……はぁ……」 翔の息が荒い。必死で止めてくれたのがよくわかる。 「助かった。ありが――」 とう。と言おうとした矢先、男が動き出した。 背後から迫る空を斬る音。 咄嗟に刀で受け止めたものの、突然だったためバランスを崩して横に倒れる。 だが男はそんな俺を一瞥するだけで、目の前にいた翔の腹部に強烈な一撃を叩き込んだ。 「がっ……!」 拳を叩き込まれた翔は短い声を漏らして少し吹っ飛ぶ。 そして数回地面を転がった後、ピクリとも動かなくなった。 『翔っ!』 俺と彩華が思わず叫ぶが、やはり翔は起きない。 「てめぇ!」 「貴様!」 斬られてはいないから気絶してるだけ。 それでも俺達は怒りを抑えることができずに男に斬りかかった。  
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