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え~っと……ちょっと待とうか。いろいろとわからないことがあるんだけどその前に。
「何でお前がここにいるんだ?」
俺は一番尋ねたかったことを聞いてみた。
すると零は屈託のない笑顔を浮かべて口を開く。
「そんなのお兄ちゃんの中にいるからに決まってるじゃん」
やっぱりそうか……。
「って、お兄ちゃん!?」
「うん。ボクずっとお兄ちゃんが欲しかったから。ダメ?」
ダメ?って、そんな笑顔を向けられたら断りにくいだろ。別に断る気もないけど……。
「別に構わない。それより俺の中にいるって……?」
「あ~……それはまた別の機会に。早くしないとみんなが大変だよ?」
その言葉に俺はハッとして今の状況を思い出した。
そうだよ。みんなはどうなってるんだ?
「知りたい?えっとね、翔兄はまだ気を失ってて、他のみんなは皐月姉を守ろうと頑張ってるよ。でもこのままだと全滅するのも時間の問題かな」
全滅……それはつまり、みんなが死んで如月が連れて行かれるってこと。
くそっ!そんなことさせない!させたくない!
けど……。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「俺が戻ったところで何か変わるのかな?何の力もない俺が――」
「力ならあるよ」
俺の言葉を遮った零の声は、何故か俺の頭に響いた。
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