覚醒

6/16
前へ
/309ページ
次へ
俺がゆっくり腕を退けると、魔法陣の中にある文字が剥がれるように落ちて消えていく。 そして最後に残ったのは左上にある核の部分。 それがより一層輝いたかと思うと、次の瞬間には魔法陣が……崩れた。 言葉通り、粒子となって……。 「……今の文字はね、ドーム状の壁のことだったんだ。 核が消える……それは壁が消えること。壁がなければただの光になるからね。そうやって意味を成さなくなった魔法は消えるんだよ」 ……何か難しいな。 要はさっきみたいに勘?で見つければいいんだろ。 これで発動方法もわかった。早く戻らないと。 「零!俺を現実に戻せるか?」 俺の問い掛けに零はコクリと頷く。 「よかった。じゃあ頼む」 「その前に言わせて。たぶんこれでお兄ちゃんは魔法を消すことができるはずだよ。でもお兄ちゃんが負けたのは魔法じゃない、武器の戦いだってことを忘れないで」 そうだった。俺は純粋に接近戦で負けたんだ……。 剣技じゃ俺の力は使えない。 零に言われるまで気付かなかったよ。 「ホントにありがとな、零」 俺がそう言ったと同時に急に視界が歪み始める。 すぐに現実に戻るんだとわかった。 「じゃあね、お兄ちゃん。また会おうね」 その声を最後に、俺の視界と意識は真っ暗になった。  
/309ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12223人が本棚に入れています
本棚に追加