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俺がゆっくり腕を退けると、魔法陣の中にある文字が剥がれるように落ちて消えていく。
そして最後に残ったのは左上にある核の部分。
それがより一層輝いたかと思うと、次の瞬間には魔法陣が……崩れた。
言葉通り、粒子となって……。
「……今の文字はね、ドーム状の壁のことだったんだ。
核が消える……それは壁が消えること。壁がなければただの光になるからね。そうやって意味を成さなくなった魔法は消えるんだよ」
……何か難しいな。
要はさっきみたいに勘?で見つければいいんだろ。
これで発動方法もわかった。早く戻らないと。
「零!俺を現実に戻せるか?」
俺の問い掛けに零はコクリと頷く。
「よかった。じゃあ頼む」
「その前に言わせて。たぶんこれでお兄ちゃんは魔法を消すことができるはずだよ。でもお兄ちゃんが負けたのは魔法じゃない、武器の戦いだってことを忘れないで」
そうだった。俺は純粋に接近戦で負けたんだ……。
剣技じゃ俺の力は使えない。
零に言われるまで気付かなかったよ。
「ホントにありがとな、零」
俺がそう言ったと同時に急に視界が歪み始める。
すぐに現実に戻るんだとわかった。
「じゃあね、お兄ちゃん。また会おうね」
その声を最後に、俺の視界と意識は真っ暗になった。
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