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炎龍は蛇のような動きで架神に襲いかかる。
口を大きく開け、今にも喰らいつこうとするかのように。
それが架神を呑み込もうとした時、架神は横に転がって炎龍を躱した。
その際、わずかに制服が焦げ、架神の表情にも苦痛が見て取れる。
しかし炎龍はそんな架神を追撃することなく、今度は龍牙に狙いを定めた。
「これは……防げねぇな」
そう呟くや否や、龍牙はギリギリまで炎龍を引き付け、架神と同じように横に転がって躱す。
そしていよいよ……俺の番。
炎龍は俺の正面に移動して真っ直ぐ向かってくる。
後ろには如月達がいる……。絶対に成功させないと。
「クククッ、お前は逃げられないだろう?後ろの者達を守りたいのなら……」
あぁ、最初から避ける気なんてねぇよ。
俺はゆっくりと左手を突き出した。
「バカ!逃げろ、光輝!皐月達なら大丈夫だから!」
わかってるさ、龍牙。アイツらは強いからな……。
でも俺がこうしてるのは別の理由もあるからなんだ。
この魔法を消せば……あの男に――
「光輝ぃぃぃぃぃ!」
口を開けた炎龍に手の平が触れた時、時間が止まったような気がした。
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