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「お前……!」
これで男の動きは封じた。でもトドメを刺すのは俺の役目じゃない。
「龍牙っ!架神っ!」
男を押さえながら首だけ後ろに向けると、2人はすでに動いていた。
「任せろ!」
「僕に命令するな」
俺から見て、龍牙は右、架神は左へと別れて男に迫る。
だが、再び前を向いた俺が目にしたのは、がら空きの右腕を迫る龍牙に向けて突き出している男の姿だった。
「っ!させねぇ!」
俺は咄嗟に掴んでいたコートから手を放し、代わりに右腕の手首を掴んで押さえ付ける。
とにかく必死だった。
後のことも考えずに剣を捨て、左手首をも掴んで。
――この機を逃すわけにはいかない!
「今だっ!」
「本気で行くぜ」
瞬間、龍牙の姿が消えた……ように感じる。
実際は人間の限界を超えたスピードで動いてるだけだ。
これこそが龍牙の武器の能力、〈高速化〉。
時間の流れが遅く見え、その中で龍牙だけがいつものスピードで動けるらしい。
俺達から見たら、龍牙がもの凄い速さで動いてるように見えるわけだ。
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