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だが当然、そんな能力ならば反動も大きい。
一時的に限界を超えた身体は疲労が激しく、発動後に必ず潰れる。
だから龍牙は普段から能力を使わない。
使うのはここぞという時の一撃だけだ。
つまり、今が勝負所。
その一撃に全てを込め、
「ハアアァァァッ!」
――力強く、槍を突き出した。
それは、俺の頭の横スレスレに突き刺さる。
要するに男の横っ腹。
そして、
「まだ終わらないよ」
俺の背後、右からの二撃目。
動けないのを良いことに、大きく振りかぶった架神の刀が斜めに振り下ろされた。
飛び散る鮮血。口の端から漏れる血液。
「クククッ……クハハハハ。……以前言ったはずだ。次はないと思え、と」
腹部に、焼けるような、激痛。
俺の腹には、ヤツの剣が深々と突き刺さっていた。
「道連れだ。神城 光輝」
再び見えた男の口元は血が零れ、ニヤリと笑みを浮かべており、それを最後に俺の身体は地面に倒れていく。
もう、声も出ない。
瞼が重く、視界も暗くなってきた。
そこから先のことは覚えていない。
ただ、俺の意識はそこで途切れた。
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