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「まったく……毎度毎度よく飽きないわね」
御影さんは未だに言い合う2人を見てそう呟く。
その言い方だとしょっちゅう言い合ってるみたいだな……。
「見苦しいところを見せてごめんなさいね」
「いや、気にしないでくれ」
俺は苦笑しながらそう言うと、さっき疑問に思ったことを尋ねてみた。
「なぁ、なんで東條は架神の呼び方を変えてるんだ?」
「あぁ、アレね。冬魔が頼んだみたいよ。学園にいる間は使用人じゃなく東條 睦月として接してくれ、ってね」
なるほど。詳しくはわからないけど、アイツも悩みとかあるわけか。
「そうそう、今日はお礼を言いに来たのよ」
俺がそう思っていると、御影さんはたった今思い出したように手を叩いた。
そういえば本題から逸れてたな。アイツらのせいで。
「お礼なんていいよ。大体、感謝されるほど活躍してないし……」
慌ててそう口にするが、御影さんは首を横に振る。
「いいえ、あなたがいなければ冬魔は死んでいたかもしれない。死にはしなかったにしろ、傷を負っていたのは間違いないわ。だから、ありがとう」
「俺からも言わせてくれ。架神さんを助けてくれてありがとう」
いつの間にか御影さんの隣に移動していた東條も頭を下げる。
東條はともかく、なんだかこの人に頭を下げさせてはいけないような気がした。
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