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「教えると思うか?」
架神の眉がピクリと動く。
キレる前に話を進めるか……。
「あれはお前に使うはずだった取って置きだ。見られたからにはこれ以上情報を与えたくないね」
「…………」
「…………」
お互い無言で睨み?合う。
目を逸らしたら嘘がバレそうで、俺は頑張って架神の目を見続けた。
っていうか架神相手に使おうと思ってたからあながち嘘でもないんだけどな……。
「……ククッ」
ククッ!?
「クハハハハハ!」
しばらくの沈黙の後、突然笑い出した架神に、俺は唖然として声が出ない。
笑う要素なんてあったか?
しかもその笑い方……どう見ても悪役の笑いだ。
「僕対策の奥の手か。それは確かに聞くわけにはいかないな」
口端をニヤリと吊り上げた架神は楽しそうに俺を見る。
「お前に少し興味が湧いた。いいだろう。僕もその時までにはもっと強くなる」
そう言った架神は背を向け、俺の返事も聞かずに扉の方へ歩き始めた。
そして取っ手に手を掛けた架神はそこで止まり、
「それから……麗亜と睦月を守ってくれたことは感謝しておく」
それだけ言って病室から出ていった。
あの架神がお礼を……!?
「こりゃ雪が降るどころじゃないな……」
自然と俺の口元も緩んでいた。
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