chapitre 1 始まり。

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それを視た時、僕は初めて自分が何かを握っている事に気づいた。 ――鍵、か? それは確かに、鍵のように見えた。 ――あの匣を開ける、鍵? 「・・・だれか、いるの?そこにだれかいるの?」 少女は、僕に気づいたらしい。 ――ああ、居るよ。 「・・・おにい、ちゃん?その声はもしかして、わたしのおにいちゃん?」 ――そうだよ。 勝手に、そう答えていた。僕に兄妹は居ないのだが。 「おにいちゃん・・・わたしをむかえにきてくれたんだ・・・」 ――そうだよ。僕が持ってるこの鍵で、今から をそこから出してあげる。 僕の身体は、まるで僕の物ではなくなったように勝手に動き、匣に鍵を差し込もうとした。 が。
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