季節の中で

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「最後の学園祭、楽しまないとね。」 「あぁ、ホント今しか楽しめない。受験控えてるからな…。」 ちっちことちはる、タッチことたつを。 幼馴染みの二人は、西風高校三年。 名前でなく、愛称で呼び合う中である。 二人は、学園祭実行委員として頑張っている。 ちっちは、推薦で短大に進学し、幼稚園の先生を目指している。 たっちは、東京の大学に行きやはり教師を目指している。 今は学園祭の準備のため、僅しか勉強できない。 「こんなことやって何が楽しんだろう?」 気のないタッチの言葉に、ちっちは不然としながら顔を観て、 「今しか出来ないんだよ?来年は無いんだから…。思い出って今しかないんだよ…。」 真顔のちっちに流石に驚いてたっちは、 「ごめん、ちっち。今しか出来ないんだよな。さっきの言葉は取り消し…。」 平謝りしながら、ちっちの顔を見つめる。 「分かればよろしい……。」
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