2・予兆

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 立ち上がり、気を失い倒れかかるリラを翼指をのばして抱きとめる。鋭く大きな鈎爪がリラの肌を傷つけないよう細心の注意をはらう。 「死者の首…呪い…を…間にあわ…ない…お許しを…」 「何。リラ!何を言ってるの!」  ファナの問いかけには答えず、リラは激しく震えている。体中から汗がふきだし、黒い素肌の上を玉のような汗がすべりおちていく。 「ファナ……愛しき翼よ…私を…わたし…を…」  みひらいたリラの両目から涙があふれる。  リラが右手をのばし、ファナの頬に手が触れようとしている。  だが、何か言い終える前にリラは両腕の中でくずれおちてしまった。  ファナを残してリラは沈黙した。  全身を汗でぬらしたリラがときおり腕の中で痙攣している。 「しょうがない。抱いて村にもどるか」  優しく幼子を抱きかかえるようにしてファナが立ち上がる。  顔を上げたファナは視線の先にあるものを見て凍りついた。  前方の空中に異様な生物が浮かんでいた。
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