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ファナの喉からかすれた声がもれる。
言葉を返した無礼のため、真紅のオーラをまとった憤怒が中空に満ちていくのをファナは感じた。
*** 何 ヲ シテオル! ***
** 竜 ノ 娘 ヲ オイテ 立チ去レ! ***
*** 怒・怒・怒 ***
今度は波動を感じる間もなくアビラを貫かれた。
巨人に頭を蹴り上げられたかのように後方へ跳ね飛ばされる。
内臓がかきむしられるような嘔吐感、そして平衡感覚を狂わすほどの痛みが頭部をおそった。
強制言語に逆らうという愚かさに耐えかね、ファナの体が悲鳴をあげはじめたのだ。
紅の姫君は砂の上に横たわっているリラのもとへゆっくりと降下していく。
倒れているリラの上に姫君が空中で停止した。
姫君の口から、赤ん坊の腕ほどの大きさの触手がのびだす。
まずい…姫はリラをとりこむ気だ。
なぜだ?女王はまだ健在だというのに!
リラの体を触手が覆いつくしていく。
*** ヤ・メ・ロ! ***
無意識に発してしまった!
ナゼ?
疑問が浮かんだ。
リーンに、しかも高貴なリーンに歯向かうことは死を意味する。
それなのに心の奥底から湧き上がる声に抗えない。
これはイケナイことだ。
今はまだだ…と。
何故このように考えてしまうのか自分でも不思議だった。
死を賭してまで行動することではない。確かにリラは部族の中でもかけがえのない竜の巫女だが…。
数瞬の間にいろんな思いが頭を駆け巡る。
それにしても変だ?
リーンのもたらす死がやってこない…。
ファナは恐る恐る顔をあげた。
リーンが行動言語を踊っていた。
垂直に不規則な楕円を描く動きを繰り返している。
それは驚いたことに死闘の舞踏ではなく困惑の踊りだった。
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