3・戦士の誓い

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 中央のかがり火を一周したバハはファナから見て右手奥の壇上の前にくるとタリムから飛び降りた。  バハとタリムの前にあるラサの木で組まれた壇上にはオーブの一族を統べる老人達が並んでいる。  その中央には族長グルスが美しい文様の刻まれた重厚な椅子に腰掛けていた。白髪で高齢の老人だが、その眼光は鋭く生気に満ち溢れている。  グルスは立ち上がると群集に向かい両手をあげた。  瞬時に村人達の歓声が途絶え、アビラの共鳴も止んだ。 「英雄バハよここへ来い」  グルスの嗄れてはいるが朗々とした声が響き渡る。  タリムから離れ、一人グルスの下へ行くとバハはひざまずいた。 「汝の働きにより、我がオーブの一族はヒュームの御使いである白きピラを得ることができた。この殊勲に対し褒美をとらせたいと思う。汝の望みを言え。掟に反せぬ限りは、我が名にかけて叶えてみせよう!」  グルスの言葉に群集のアビラが歓声をあげ、再びグルスは両手をあげてこれを静めた。 「さぁ、バハよ望みを言え!」  バハはゆっくりと立ち上がると、慣例にしたがいグルスに背を向けると群集に向かい口を開いた。 「我、戦士バハ。偉大なる長グルスの許しを得て、ここに我が望みを言う!」  バハの力強い声音が響いた。  一族の者全てがバハの声に耳を傾けている。  その中でファナ一人が恐怖にも似た不安を感じていた。  理由はわかっている。  こちらに向いた瞬間、バハの唇に浮かんだ笑みのせいだ。  あれは悪童だった頃のバハが、悪戯で大人を驚かせた時にいつも浮かべていた笑みだ。
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