始まりが始まる

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校内は意外と綺麗に整えられていた。天井はクリーム色で床の色は白い清潔感漂う感じの大広間だ。朝に歌を歌うのか、窓際に大きなグランドピアノが置いてある。 布などは掛けておらず、ピアノの黒光りする姿がむきだしだ。 (触ってみたい…。) 音楽は得意じゃないし、音譜は読めないけどこの気持ちはなぜか抑えられなかった。 ‘私をひいてみて。 いい音がでるよ’ なんてよんでいるかのように、窓から差し込まれる日光を浴びているピアノを見つめた。 一歩一歩 恐る恐るピアノに近づいて、鍵盤に触れてみた。 ポォーーン…。 透き通った音が、空間に響き渡る。白肌のような鍵盤に次々と指を滑らせた。一定のリズムでいろんな音が奏でられる。 ポォーン‥。 ポロン ポロン ポーーン……。 (やっぱり、綺麗な音だな…。楽しい‥。) こういう風に人に話しかけてもいないのに、人を笑顔に出来るのってホントに凄いと思う。こういうのを魔法とか 言うんじゃないかな、と毎日考えてしまう。 好きな曲でも、耳コピで弾いてみようかな。
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