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どこまでも続いていると思った空が、今日の今だけは一部だけ切り取られてしまったようだ。
……同じ学校の生徒3人が集っているこの神社だけが亜空間。
それは現世・来世・平行世界との関わりが切り離されたかの如く。
……誰が?
……ココにいる全員が。
「悪いがココまでツケさせてもらったぞ」
「あのよ…オメー、なんか変。授業中に居眠りして叫んでたよな?
アレから見せかけだけの顔でしか笑ってねーのはどーゆーこった?」
マロ、シンヤは真相を遠回しに聞こうとする。
伝わってるハズだった。
…いつも一緒にツルんでいる"さとお"ならば。
「……俺…
……消える……」
ボソッと何かを言ったさとおの顔は蒼白。
アタマの悪いヤツならば、この言葉の意味さえも考えなかっただろう。
二人が驚かないのは先刻の会話から、さとおが否人間という説が挙がったから。
……突然、さとおは膝から地面へ崩れていく。
焦点が合わずに目も泳いでいる。
二人は距離を……保つ。
不用意に近付いてはいけない、と警笛をならしているのだろう。
約20㍍、一瞬では縮められない距離を維持する。
「オメーは…?
さとおじゃねーな?」
シンヤは瞬動体制、マロは背後にて何かを呟き始める。
本気になった戦闘準備だ。
喧嘩ではなく、完全に相手を沈黙させるが如く放つ殺気…それだけで場の空気が凍る。
だが、さとおは膝をついたまま動かない。
「シンヤ…マロ……」
不意な声に少し戸惑う二人。
「っっ!
"さとお"かっ!?」
「なんだコレ…俺の頭ん中ワケわかんねー……一体なんだかわからねー!」
突然さとおの体が光を放つ。
シンヤとマロはまだ距離を保っていた。
迂闊には踏み込めない。
「俺を…見るな……。
見てんじゃねぇ!!」
トゲトゲの黒い髪が風も無いのに激しく揺れる。
そして光が一層大きくなって、さとおを包み込む。
「よーやく戻ったのか!?
説明しろっ!一体なんなんだオメーは!?」
「……また…明日…」
「てめっ!この野郎っっ!
なにを言ってやがるっ!
このフザケた現象とテメー自身を説明しやがれっ!!」
一瞬目を開けられないほどの閃光。
その一瞬の間に、
さとおは消えた。
何も残らない、残さない、望むべくはカタチさえも。
もう…
声がもう届かない、神社は世界と繋がってしまった。
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