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何も手掛かりが無い状態では動けないと、一旦帰宅した後その日の夜にマロは古書を開封した。
記されているのは魔界の書。
現世との繋げる方法。
勿論、一般市民が出来る程の安易さは皆無である。
鍛えられた精神の持ち主でこそ可能な方法があった。
それは僧であり、術師である。
そもそも何故精神の修業が必要なのか?
…単純にいえば、滝にうたれるコトにより己が体から雑気さえも逃がさずに錬成・構成し純粋な"精気"として体内に留める為である。
時にして邪気は己が肉体を支配し、他者へ伝染し、悪へと誘う。
術を嗜む師こそが、そういった意思に飲み込まれ易い為、修業を重ねる。
悪意に飲み込まれて我を忘れぬように。
日頃の鍛練を怠らないように。
ここでマロはさとおが行ったと予測ができる"魔界"への行き方を知った。
いや、正確にはそんな世界が在るコト自体に驚く。
現実に有り得る話か?
自問自答するマロには真実は解らない。
確かに、炎を司る悪魔ルシフェルと水を司る悪魔ベローナ、
さらにはその二人を統括している大悪魔、レーテという名前の存在をも知る。
しかし、そんなコトより驚愕したことが一つ。
古書の絵を参考にするならば、
そのレーテと呼ばれる大悪魔の顔は、さとおの顔にソックリだったコト。
洒落にならねーぞこの内容が事実だとしたら…
俺はこんな大それたヤツを殴りにいくつもりだったのかw
使い魔に5回殺されても文句言えないよーなキツさだなコレ………
マロは苦笑いしながらこんなことを考え、魔の世界に足を踏み込む覚悟をしていた。
勿論シンヤも、である。
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