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夢。
そう、夢をみている。
さとおの頭が見せている夢ではないようだ。
つまりは"誰かが見せている夢"に他ならない。
そこには真っ赤に染まった体があった。
炎のように全身を揺らめかせ、さとおを見ている。
体長は約10㍍。
眼はあるが、眼球がない。
…これが地獄の統括とも呼べる三大悪魔の一人「ルシフェル」である。
閻魔大王などは会社でいう課長、部長クラスでしかなく、閻魔の仕事は別々にあるのだ。
すなわち、天国地獄逝きを決める閻魔とは別に他にも閻魔大王というのは複数存在する、ということである。
その地獄統括が何故さとおを見ているのだろうか?
さとおにはこの炎の生物が何物かさえ、理解できていない。
夢の中とはいえ、視覚ははっきりしているし、意識もある。
ただ、体が動かず声も出せない。
一秒が一時間、一分が一瞬のような時間が曖昧な空間の間を切り裂いて、ルシフェルが動いた。
さとおの左腕を触ったのだ。
瞬間、
その
腕は
ひびが入り
折れた
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