てめっ、この野郎っ!

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帰りのHRには出てきたさとお。 横に居たシンヤはマロにメールを送る。 ……追い詰める為である。 ……このタイミングを逃すワケにはいかないと帰り道の商店街、さとおの後を尾行していく二人。 その姿はまるで忍者の如く 気配を詠むコトができる武術・武道の達人ですら察知できないくらいの鋭敏。 足音すら空気の音さえもしない、大気のブレさえも起こらない。 …さとお自体は気付いていないようだ。 ……と、いつも帰る道とは違う方向へ進んで行くさとお。 「あれ?こんな道なんかあったか?」 「……いや、なかった気がするが…… シンヤはこっちの方向だったよな家は」 「マロは逆方向だったな。 ……だがこんな道は…。 そもそも何処に繋がっているかさえも、ココらへんに16年生きてきてるが全然わからん!!」 「…ちったぁ落ち着けシンヤ。 アイツはその"無い道"を通って、ドコへ行くつもりなんだ?」 「ココは黙ってついていくのが賢明ってことか…」 ついていくのはいいのだが…さとおが入って行った道は道とは言えない道。 四苦八苦しながら進んでいくと、神社と思われる階段があった。 その幅は狭く、人が二人並ぶのにやっとの広さだ。 二人は溜息をつくと、狭い階段を上り始める。 「あんにゃろう…俺でも知らない神社なんかに何の用なんだ? …変な神様でも崇拝してんのかよ」 「シンヤでも知らないのか? そもそも…いや、考え過ぎかな……」 「なんだよその言い回し? 逆に気になるだろ、引っ掛かってんなら教えろぃ」 マロは少し考え込む仕種をした後、口を開いた。 「あのさ、そもそもこの場所ってのか?この地区ってなんつー地名だ?」 「えーと、地名は"オオゴク"だっけか?」 「漢字で書くと"大獄"だろ? 昔この辺りって悪魔の住む街って話があったんだぜ?」 「そりゃニンゲンがこの地で生きていく前の話か?」 「そうなるんだが…イマイチ俺の勘が合ってるのかどうか微妙なんだよな…」 「?」 シンヤは茶化さずに聞く。 何故なら、マロは先祖から受け継がれるイタコ・霊媒師であるからだ。 この話はまた別の機会に記載するが、中国八卦の一派"瀧経(ろうけい)"の血をひいている。 長い、長い階段を今でも上り続けながらマロは話し始める。
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