てめっ、この野郎っ!

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「そもそもな? この辺りは2つの悪魔が統率してたらしいんだ。 一つは紅蓮の悪魔ルシフェルが治めていた"大獄"。 もう一つは水蕩の悪魔ベローナの治めるミズソノと読んで"水園"。 まぁ俺が住んでるトコなんだが炎と水…相入れない関係、この二つの由来と地区が隣同士の関係…不思議とは思わないか?」 「つまりマロがいいたいのは、その悪魔だのなんだのがさとおに何かしら関連があるっていいたいの?」 「んー…まぁそんなトコなんだが、そこまでハッキリとはいえねーんだよ。 もう一人ソレより上部にいる大悪魔がいたんだが、その悪魔は素性が知れないうえに、使い魔さえも名前知れずってゆーのを聞いたコトあんだが…よくわかんねーや」 「…その妖気じみたモノを感じるってワケだな? ま、俺もビシビシ感じてるんだわ。…ずっと鳥肌立ちっぱなし」 ……どんな感情を持っているのか、マロの表情は険しい。 まるで生きるか死ぬか、二択の選択を選ばされているかのようだ。 「なんにしろ、さとおにどんな関係があるかどーかなんて知ったこっちゃねーし、何かあったとしても自分の目と感覚だけしか信じねー。 今はあのビキビキとヒビ割れそうなさとおのツラの説明を聞ければいい」 「アイツ…ふと今気になったんだが、さとおって…」 ニンゲンだよな? ……シンヤは答えない。 その同じ気持ちをずっと長い間持ち続けていたからだ。 マロはマロで頭の中を整理したうえで、この疑問に至ったのだろう。 悪魔が統治していた街、あるはずもない神社及び社への階段、さとおの"堕ちたような"顔……… 全てが一つに繋がり、あとはその理由だけを知ろうとするようにマロは顔を上げる。 ちょうど上りきったようだった。 階段の終点か……とシンヤは呟き境内に向かう。 と、そこに立ち尽くしたさとおが居た。 "そこに在る"のか、 "そこに居る"のかわからない。 虚ろな目をしながら空を見ていた。 まるで何かを待っているように
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