4人が本棚に入れています
本棚に追加
大蔵は和子の手を強く握ると、もっともっと深いところに入っていった…
「がさがさ…」
大蔵が草をかき分ける。
事件はその時に起きた…。
「キャ!」
和子は足を滑らせて転倒した。
手を握っていた大蔵も一緒に転倒した。
とっさに大蔵は突き出ていた木につかまった…
「大丈夫か?しっかりしろ!」
大蔵は和子の手を強く握った。
「助けて…助けて…」
和子の足の下は崖だった。
和子と大蔵は知らぬうちにとても高い崖のところまできていたのだった。
「待ってろ…今、助けてやる!」
大蔵は力を入れて持ち上げようとするが和子を引き上げることができない。
「助けて…助けて…」
和子は泣きながら叫んでいる。
その時だった…
大蔵のつかまっている木がミシミシと音を立て始めた。
木の根っこが土から少しずつ顔を見せている…
「わぁ~!」
もう終わりかもしれない…
大蔵はそう思った…。
最初のコメントを投稿しよう!