2.慎との別れ

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あの日もいつもと変わらない日だった。 いつもの幸せがずっと続いていくものだって、自信があった。 だから、慎から 「話がある‥」 って言われた時も、 何も疑うことなんてなかった‥ クラスの誰もが居なくなった教室の窓からは、 まるで、 瞳すら透き通ったガラス細工のごとく 演出してくれる西日が強く差し込んでいた。 「え?何!?」 言葉は確かに聞き取れた。 でも、もう一度聞き返さざるを得ないような内容だった… 「うん…9月から、家族でアメリカに行くんだ‥」 この時の慎は、うつむいて、 いつもは真っ直ぐに向けてくれる視線を 合わせれずにいた。 「わたしは‥わたしはどうすればいいの?…」 必死に振り出した声が震えた。 「待っててほしい。 いつになるか…まだわからないけど‥ きっと、 迎えに戻って来るから…」 「… いつまでかわからないのに 待てないよ‥」 これが、この時のわたしの答えだった…。 この時は、 彼の言った言葉の思いなんて考えなかったから、 いや、わかろうともしないで 自分の気持ちばかり押し付けてたのかも… 傷つけてしまったと思う。 まだ、子供だったんだと思う。
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