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はっきり、あの頃自分がどこで何をしていたのか。とか、どんな環境にいたのか。ってことは覚えていない。
でも、あの白い馬体が直線を駆け抜け、大観衆に大きな声援を受ける姿に、小さいながらも衝撃を受けたものだ。
……『オグリが勝った‼』
じいちゃんが叫んだ。それは、はっきり覚えている。
何故『馬』という、人間と違う生き物に、じいちゃんやみんなが熱くなっているんだろう。
それに気づくことにはしばらく時間がかかった。
…オグリキャップはアイドルホースだった。競馬人気は絶頂を迎え、馬券やグッズが飛ぶように売れた。それは、暫くしてから知ったことだ。
果たしてオグリの人気はどこにあったのだろうか?
…ハイセイコーと同じ地方出身だから?
…とてつもない強さ?
…白い馬体?
…恵まれたライバル関係?
ふと振り返った時、ボクが感じたのは、それとは違うものだった。
…確かにオグリは強かった。
クラシック出走権利のない見知らぬ地方馬が、若くして古馬と互角以上に渡り合い、破竹の勢いで重賞を勝ち続ける姿に世間はハイセイコーをだぶらせたのであろうか…
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