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「できたよ。今持っていくから座ってな」
美代が台所から皿を数枚運んできた。その上には野菜炒めやポテトサラダが申し訳なさそうに身を寄せている。
「結構きれいになったじゃない」
「がんばりました」
「どうせまた明日には散らかってるんだろうけどねぇ」
美代が皿をテーブルに置きながら言った。この部屋を汚すのは九割方彼女の方なのだが、いつもの調子で彼女は素知らぬ顔をしている。
「この野菜炒めちょっとしょっぱい」
「いらない?」
「……食う」
美代は、食事には手を付けず煙草を吸い始めた。吐き出す煙が部屋いっぱいに広がる。
彼女の長年に渡る喫煙のせいで部屋の壁や天井は若干黄ばんでいる。それらの一部には指でこすったような跡があり、そこだけが部分的に黄ばみがとれて白くなっていた。
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