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夕食を終えて自分の部屋に戻ってきた健治は、再びベッドへと倒れ込んだ。ベッドがギシリと軋む。 こうすることが、もはや彼の日課になっていた。これをしないとどうも家に帰ってきた気がしないのだ。
目をつむったまま、頭の中で有象無象の思考を巡らす。深い意味はないのだが、これらの妄想を経て目を開けると、体の中から余計なものがすべて流れ出ていく。そんな気がして、この瞬間が健治は思いのほか好きだった。
しばらくして健治は目を開けた。体を仰向けに変え、時計に目をやる。暗さに慣れていた目には、蛍光灯の光がいつも以上にまぶしく感じられる。
時刻は十時を回っていた。時計を見た途端、ふいに何かを思いだして鞄の中をあさり始める。――ここに携帯を入れていたことをすっかり忘れていた。
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