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病院の中から戻ってきた男は私から少し離れて腰かけた。
男に目もくれず遠くをボォっと見つめながらゆっくりと口を開いた。
「…‥あんた…誰…?」
「俺か?俺は…」
「私はなんなの?」
男が言い終わる前に私はさらに聞いていた。
自分が言ってるコトさえも分からなくて…ただ頭の中にさっきの白い部屋が浮かぶ。
ぐるぐると
白い部屋に寝ていた
今の自分よりも蒼白で
穏やかに
ぐっすりと眠っていた
自分の顔が
頭いっぱいにまわってる。
「私がもう一人いたよ…?」
それしか言えない。
それしかが分からない…。
男もだまったまま何もいわない。
ベッドに寝てて…
お母さんとお父さんがいて
あそこは‥?
わたしは誰?
アレは何?
私の 体 ココに あそこに
自分の両足を抱え腕に力をいれた。体がまたふるえて始めてきたから――…
「俺の名前はケント」
男はギュっとちぢこまりふるえている私を見つめながら言った。
「んで…」
男が目をそらした。
「お前は幽霊だよ。
俺と同じ。」
「うそだ!!!」
立ち上がり叫んだ。
「幽霊…?私が?馬鹿じゃないの!?足だってしっかり2本あるし…っ。第一私はまだ死んでないッ!!!」
「皆始めは必ずそう言うんだよなぁ~」
ケントはさめたようにつぶやいた。
「つまんね…だいたい察しはついてるくせに」
わざとらしくため息をついた後ふっと馬鹿にしたように笑うケントを見て 思いっきり蹴とばしたくなった。
「仲間入りおめでとう」
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