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「さて、我々の仕事は、ここまで。引き上げるとしますか。」
クルースニックは、どうやらギルドの連中が苦手の様で、一礼すると背を向けた。
が、二人の背中に紅い帽子の男が声をかけ、引き止めた。
「待て。アカムトルムを討伐したお前達に、マスターからの御依頼がある。」
マスターとは、ギルドを統括する者の事で、ギルドマスターと呼ばれている。
ただ事では無いと察したクルースニックは、振り向くと、即座に聞いた。
「それは、どんな!?」
うむ、と頷くと紅い帽子の男が告げる。
「デイダラ砂漠方面のディアブロスを討伐して貰いたい。」
カナデがキョトンとした顔から、やや安堵した面持ちで言う。
「な~んだ。マスターからの御依頼って言うから、どんなのかと思ったけど、ディアブロスなら…」
紅い帽子の男がカナデの言葉を征した。
「ただのディアブロスでは無い!!…お前達の村の集会所に依頼状が届いている筈だ。直ぐに確認するように。」
カナデが首を縦に振るとクルースニックに言う。
「気になりますね。行きましょう」
クルースニックも承知し、帰路についた。
紅い帽子の男が二人の背中に言った言葉は、彼等に届いていたのだろうか。
「どうか、ご無事で…」
帽子のツバを上げると、そこには気取ったギルドの正装とは不釣り合いな程、優しさに満ちた温かい瞳があった。
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