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「今、こうして雫を抱き締めていることも決まっていた。
全ては決まっていたんだ」
「……それじゃあ…、運命には抗えないの?」
雫のその一言は弱々しかった。
「抗える」
対照的に、壟の声は強かった。
「運命は変えられる。
必ずな……」
「けど、決まっているんでしょ?」
「決まっているさ……。
何もしなければな?」
壟は雫の顔を見ながら微笑んで言った。
「……ねぇ、壟…」
「ん?」
「私がこれからすることは決まっていたのかな?」
雫は壟の顔を見ながら言う。
「さぁな。
だけど、俺が先にするから変わったのかも知れないな」
ゆっくりと、静かに唇を合わせた。
それも、運命なのか。
変えた事柄なのか。
これから何が起こるかは、誰にもわからない。
だから、楽しい。
辛いこともある。
だが、それは変えることだって出来る。
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