1章

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「おはよう、高坂くん」 よく晴れた春の日差しを受け大学へと向かう坂を歩いていると不意に後ろから声を掛けられた。 振り向いた先に居たのは俺と同じ学科の西海 美樹。 「はよ、良い天気だね」 そう言って歩く速度を緩め彼女が並んでくるのを待った。 「ほんと良い天気だね、あー、雲になりたいな」 そう言ってハハハと笑いながら並びかけた。 「何で雲なの?」 横をみると少し上を向いて彼女は空を見上げていた。 俺もそれにつられ空を見上げる。 真っ青な空の青に真っ白な雲の白。 綺麗にコントラストされた空に吸い込まれるように見取れていた。 「雲って自由じゃない? 自分の思い通りの形になれて自分の好きなところに行ける。 雲みたいな人間ってきっと楽しいと思うの」 と微笑む彼女。 雲をそんな風に見ている事に少し驚いてそして少し羨ましかった。
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