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俺も空は好きで良く見上げる事もあった。
でも俺にとっての雲は空の青を浮き立たせる為にあって雲は空に流されているんだと思っていた。
そんな雲を羨む事なんて当然無くて俺はそんな雲を包み込む空になりたいと思っていた。
空を見上げ返事もしない俺に彼女は声を掛けてきた。
「ごめんね、あたし急に変な事言って…」
「え、いや、違うんだよ。
雲をそんな風に見てるなんて俺とは全然違ったから」
少し悲しそうに言う彼女に汗ってしまう。
「そっか、ならよかった。
高坂君はどんな風に空を見てるの?」
彼女は曇った表情を明るく変えて尋ねてきた。
それに俺はさっき考えていた事をそのまま話した。
「そうか、そういう考えもあるよね」
と微笑む、そして。
「じゃあアレだね私は高坂君に守って貰わなきゃね」
と照れたように悪戯な笑。
その笑顔に彼女を俺の雲にしたい。
そして俺が彼女の空になりたいと思った。
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