同居人は生きる伝説

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所々"赤い"が『布』とよべる物は一切ない。 思考が一瞬止まる。 (え?、じゃあこの胸に伝わる柔らかさや温かさは) そこまできて頭がショートした。 何処をどうしたのか脱兎の如く彼女の下から出る。 ――しかし、そこでようやくきずいた。 どうもこの女性、気を失っている様で、体にはよく見なくても分かる程の傷がある。 出血こそ無いものの、ほっといていいものでもない。 (早く傷の手当てをしないと) そう思うと、女性を背負う。 女性特有の柔らかさ。 耳元に聞える規則的な呼吸。 気にならない筈はない、しかしそれ以上に助けたい思いが勝っている。 彼は己の来た道を全力で駆け戻っていった。
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