出会い、動き出す運命

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「ハ、ハ、ハア…ハア…!」 浅く、荒い呼吸がぬかるんだ地面を走る音に混じり深い森に溶けていく。 「ぐ…く、ハっ…ぁ、く……そ!」 時折その呼吸は大きく乱れ苦悶の表情を浮かべる。 見たところ年は20代前半。 女性としては身長が高い。 走る風に靡く腰程まである黒い髪。 顔立ちは端整、切れ長の目は凜とし意思の強さを伺わせる。 擦れ違う誰もが一度は振り向く美女だ。 ――しかし、特に目立つ胸部に女性の理想とも言える抜群の肢体には一糸一つ纏っておらず、頭部には斜め後ろに伸びた黒紫色の角。 腰より僅かに下の部分からは同色の尻尾が生えていた。
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