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高くはないがよじ登るには時間がたりない。
すると、ガサリ…ガサガサと背後の草むらが揺れる。
――次の瞬間"それ"がピィーという奇声をあげ飛び出してきた。
頭をすっぽりと覆うマスクに、人のような体格に低い背。
その片手には比較すると彼等には大きめな先端が斜めになっている剣。
獣人種の中でもとりわけ凶暴な鬼面族だ。
――しかも単体ではなく複数、最初の一匹から間を空けずに数匹出てきた。
「ハァ…フゥ…逃げられん…か、仕方ない…来い!」
彼女はそう叫ぶと、右手は開いて前に、左手は拳を握り腰の横に添える。
脚は肩幅に開き前後にずらす。
敵は何時までも待ってくれない、構えるや否や奴等も一斉に飛び掛かってきた。
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