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彼女が迎え撃ってから一時間。いや、もっと長かったかもしれないし、もっと短かったかもしれない。
時間の感覚が麻痺するほど彼女は戦っていた。
その身体には大小無数の傷が刻まれている。
軽傷…だが、少なくない傷からは血が滲み、流れ、なおも体力を奪ってゆく。
「ハァ…ハァ…切りが、無い」
それでも奴等の数は一向に減らない。
むしろ最初に比べ増えているように見えた。
まだだ――と、自分を奮い立たせようとしたとき
「ぐ――!」
鋭い痛みが足にはしり片膝を付く。
痛みに方向を見れば鮮血を滴らせた剣を持ち飛び跳ねる鬼面族がいる。
気の緩んだ一瞬の隙を突かれてしまった。
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