罪喰いの王女

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 つい十日ほど前までは、九年もの長きに渡り、鎖に繋がれながら幽閉されていた身であったのだ。  外界から隔離された世界に育った姫が、なにゆえ傷ついた兵士の死期を計ることができるのか。  戸惑うクヌートを余所に、王女はするりとクヌートの腕の下をくぐり抜けようとする。 「姫」  クヌートは王女のほっそりとした腕を掴む。  姫と呼ばれた少女――金と黒の瞳を持ち、自らを魔物だと言う王女、ユーリアは、クヌートに腕を取らせたまま、顔を上げた。
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