獅子殺しの剣士

3/14
前へ
/166ページ
次へ
 全員が炎を点したたいまつを持ち、夜に活動する生き物達を遠ざける。  クヌートと同じ馬に騎乗していたユーリアが、ぽつりと言った。 「王の命を助けるために、失われる命もある……。王は、お守りせねばならぬ……」  クヌートは周囲への注意を払いながら、ただ黙ってユーリアの独り言のような呟きを聞いていた。 「命を落とす者もつらいが……命を賭して守られる王も、おつらいな……」  クヌートはユーリアを見た。  ユーリアはぼんやりと馬上で身体を揺らしながら、前を行く兵士の馬を眺めている。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3756人が本棚に入れています
本棚に追加