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ハラルド君はパーラー・ボ
ーイ君からレンチを受け取る
と、器用に補助輪を外しまし
た。さすが、マイスター制度
の在る国からやって来ただけ
のことはあります。
「見たところ、君の自転車は
日本製の様だね。まあ、日本
製も悪くはないけど、どうせ
なら、たとえ自転車であって
も、車と名のつくものは、ド
イツ製を選ぶことをオススメ
するよ。現にオリンピックで
もドイツはチームスプリント
で日本をやぶって---」
子供ながらに、ゲルマン魂
のかたまりであるハラルド君
がお国自慢を長々としている
うちに、アイスクリームの屋
台がやって来ました。
パーラー・ボーイ君はすぐ
さま自転車に飛び乗り、屋台
の後を追おうとしましたが、
始めてコマなし自転車に乗る
パーラー・ボーイ君は少しも
進まないうちにコケてしまい
ました。
ヒザやオデコを擦りむいて
しまったパーラー・ボーイ
君。
「大丈夫! パ―ラー・ボー
イ君!!」
ハラルド君は心配そうで
す。
「ボクの家に来なよ。ドイツ
製のクスリを塗ってあげる
よ。ドイツはメディカルの面
でも世界一の国だから、きっ
とよく効くよ」
ハラルド君の心配をよそ
に、パーラー・ボーイ君はオ
デコをおさえながらテレくさ
そうに笑いました。
☆
その日の夕方、仕事から帰
ってきたお父さんは、パーラ
ー・ボーイ君がオデコにカッ
トバンを貼っているのを見
て、
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