パーラー・ボーイ君 補助輪を外す

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(また、なにかヤンチャ遊び をして、ケガしたんだな)  と察しました。  お母さんからケガの理由を 聞いたお父さんは、 (この子は言っても聞かない な)  と、あきらめて、それなら せめて出来るだけ痛い思いを しないように、今から自分が 自転車の乗り方をレクチャー してあげようと思いたち、 「もうすぐ晩ゴハン出来るの よ」  と言う、お母さんの声を無 視して、パーラー・ボーイ君 を外へ連れ出しました。 「パーラー・ボーイ君、お父 さんが後ろ押さえていてあげ るから、思いっきりペダルを 踏んでごらん」  パーラー・ボーイ君が言わ れたとおりに自転車を漕ぎだ すと、お父さんも後ろを持ち ながら一緒に走りだしまし た。  最初はグラグラしていた自 転車の動きが、しだいに安定 してくると、お父さんは、 「パーラー・ボーイ君。お父 さん手はなすからね」  と声をかけました。 “コクン”とうなずくパーラ ー・ボーイ君。  しかし、いざ手を離す瞬間 になると、お父さんは、 (パーラー・ボーイ君、もし コケたらどうしよう。かわい そうだな)  という思いが湧いてきて、 なかなか手を離せません。 (もしコケて痛い思いした ら、パーラー・ボーイ君、お 父さんのことキライ になっちゃうんじゃないか な。もう一緒に朝のウォーキ ングやってくれなくなったら 寂しいなぁ)とか (パーラー・ボーイ君にケガ させたら、お母さんに怒られ ちゃうな、そしたら、一緒に お風呂入ってくれなくなるの かな)とか、後ろ向きなこと を考えている内に、お父さん は完全に、手を離すタイミン グを逃してしまい、気がつく と30分近く、8キロ以上の 距離を自転車の後ろを押さえ た状態で走っていました。
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