パーラー・ボーイ君 補助輪を外す

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 お父さんが疲れていくのと 反比例して、パーラー・ボー イ君は何かコツをつかんだの か、自転車のスピードはドン ドン上がっていきます。 「パーラー・ボーイ君、パー ラー・ボーイ君! もっとゆ っくりでいいから。もっとゆ っくりでいいから!」  お父さんの叫びなどお構い なしに、パーラー・ボーイ君 はグイグイ自転車を漕ぎま す。  力尽きたお父さんは、つい に自転車から手を離して倒れ ました。  お父さんの手から離れた自 転車は、〝フラフラ〟 と、 あやういながらも何とかバラ ンスを保ち進んでいきます。 「パーラー・ボーイ君! 乗 ってるよ! 自転車のれてる よ!!」  お父さんは大喜びで地面か ら飛び起きました。転んだ拍 子にズボンが破れてしまって いますが気になりません。  パーラー・ボーイ君も嬉し くて、いつもの笑顔がこの時 は3割増しです。  ゆれながら進む自転車のヨ コを、偶然にあのアイスクリ ームの屋台が通りすぎていき ました。  向こう見ずな性格のパーラ ー・ボーイ君は迷わずに後を 追いかけました。    けれども、アイスクリーム 屋さんはこの時すでに仕事を 終えて、会社に戻る途中なの で、営業用のながし運転とは 違います。とてもパーラー・ ボーイ君のような子供のあし で追いかけられるスピードで はありません。  それでもパーラ・ボーイ君 は必死で追いかけて、一生懸 命に自転車を漕ぎすぎたせい で、バランスをくずし転んで しまいました。  遠ざかっていく車が、やが て見えなくなると、パーラ ー・ボーイ君は地面に打ちつ けた場所とは違う、体の中の どこか別の所が痛むのを感じ ました。
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