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午前0時。
私は手紙に書いてある住所に辿り着いた。
店の名前は「奇妙」
私はドキドキしながら戸を開けた。
店の中は深夜だというのに電気が点いてないため暗く、しんと静まり返っている。私は少し怖くなったが奥に進んでみる。すると、
「いらっしゃいませ」
低く呻くような声が背後から聞こえた。
ドキッとして後ろを振り向いてみると、すぐ後ろに蝋燭の明かりで照らされた青白い男の顔が浮かび上がっていた。
「ギャーーーー…!」
私は声にならない悲鳴をあげた。しかし男は悲鳴には動じず、低い声で、
「もしや会員の方ですか?」
と尋ねてきた。私は黙って何度もうなずく。
「どうやらお客様は初めてでいらっしゃいますね。ではご持参した手紙をお渡しください」
私は震えながらもその手紙を渡した。
「ありがとうございます。それではこのカードを受け取りください。これからはそのカードで出入りしていただくことになりますので。それでは始めましょう。お客様が本日最後のお客様です」
そう言って男はカードを渡して、
パチン。と指を鳴らした。すると沢山の蝋燭が灯り、店の中が明るくなった。店には沢山のテーブルがあり、その一つのテーブルに4、5人ずつ座っていた。
「こちらにどうぞ。席は相席になっております」
男はそう言って私を席に案内した。
席につくと男はどこから取り出したか、水の入ったコップを置いて、
「それではごゆっくりお楽しみください」
と言って去って行った。
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