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ここはどうやら喫茶店みたいだ。私以外の他の人はコーヒーやら紅茶やらを飲んでワイワイガヤガヤやっている。
私も取り敢えずコーヒーを飲んで気持ちを落ち着かせていた。すると
「ねぇ彼女。ちょっといい?」
同じテーブルに座っていた男が声をかけてきた。男は20代中半くらいで今時の若者だった。
「何ですか」
「ここは初めてなのかな?」
男が尋ねる。
「はい」
「やっぱりなぁ。ここに初めて来る人って大体挙動不振になってるんだよな」
と男は笑顔で話している。どうやら悪い人ではなさそうだ。
「あのぅ…」
「あ、俺ケンジって言うんだ」
「ケンジさん。ここは喫茶店なんですね」
「そうだよ。午前0時からだからビックリするけどまぁ"ある"催し以外は普通の喫茶店だよ」
"ある"という言葉が妙に引っ掛かった私はもう一度聞き返した
「"ある"催し?」
と尋ねた瞬間、店の照明が全て消え、暗闇に包まれた。そしてすぐに各テーブルの中央に乗っていた蝋燭だけが灯り始めた。
「始まるぞ。百物語」
ケンジがひそひそ話で言った。
「百物語!?」
私は驚き大きな声で叫んでしまった。周りの人の視線が痛い。
「声がでかいよ」
ケンジがひそひそで怒鳴った。
「この喫茶店では週一で百物語をやってるんだ。ほら静かに」
ケンジはそう言って黙り始めた。
私側から見て一番奥のテーブルの男が話始めた。
「これは私が聞いた話です…」
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