6人が本棚に入れています
本棚に追加
ヴァンがおかしな反応を見せたのはいつだったか?
子どもを見つめ、リウォードは思慮にふける。
確か、こう・・・。
ゆっくりと伸ばされた腕。
それは優しく、子どもの頭を撫でた。
泣き止まぬ幼子を慈しむように優しく、優しく。
「お前、名前は?」
「あ・・・アノウ、です」
「そうか。いい名前だな」
少年は柔らかい笑みを浮かべ、恥ずかしいのか、顔を赤く染めたアノウの頭を撫でる。
その光景を男はひどく驚いた様子で、見守っていた。
人と一定の距離を保ち、深く関わろうとしないリウォードが初対面の相手にそのようなことをするなど、彼にとっては衝撃的なことだった。
緊張が解けたのか、徐々に笑顔を浮かべ、リウォードと会話をするアノウ。
仲睦まじい光景にヴァンが笑みをこぼすと、話に一区切りを打ったのか、リウォードが戻ってきた。
いつもより二割ましのシワを眉間に刻んで。
最初のコメントを投稿しよう!