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そんな彼の様子を見て、失念していた自分の質問を思い出した。
「その顔だと俺が言いたかったことがわかったみたいだな」
「まぁ、な。・・・はぁ、視えすぎるのも難点だな」
「あー。ってことはやっぱりあの子はその類いってワケだ」
「あぁ、ちょっと特殊だが間違いないだろう。ただ、問題はあいつ自身がそれに気づいてないってことだな」
アノウの耳に入らないように声のボリュームを落とし、喋る二人。
百面相のようにコロコロと表情を変えるヴァンと、常に苦虫を噛み潰したような顔のリウォード、そんな彼らの様子を不思議そうにアノウは眺めていた。
「うわぁー・・・。ってことはあいつ、自分の存在を理解してないのか」
「ああ。それに・・・」
リウォードは一旦、言葉を切って目を伏せる。
「ん?」
「多分だが、記憶がない」
「・・・・・・・・・・・・マジかよ」
思いもよらないことが彼の口から飛び出したことにより、ヴァンはアノウを穴が空くほど凝視して小さく、そう呟いた。
「??」
何故、自分が見つめられているのかも分からず、アノウは首を傾げる。
サラサラ、と静かに銀の髪が流れ落ちた。
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