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自分のことを幽霊だと理解していないアノウに、どのように真実を伝えるか。
その解決策を見出すことができないまま、ただ時間だけが過ぎていった。
そしてリウォードは明日、再び屋敷を訪ねることをアノウに約束し、二人は一旦街へと戻ってきたのであった。
「それにしてもよー、今回のはちょっとばかし厄介そうだな」
右手にフォークを握り持ち、机にところ狭しと並べられた料理を次から次へと掻き込みながら、ヴァンはひとり呟く。
話し合いと腹ごしらえを兼ねて、多くの人で賑わう街一番と評判のレストランに今、彼らはいた。
「・・・ってねぇ、聞いてる?俺はべつに独り言言ってるわけじゃないんですよ、リウォードさん」
カチャカチャと、ヴァンとは対照的にナイフとフォークを丁寧に使い、行儀よく、且つ静かに食事を進めるリウォードはちらりと視線を彼に向けただけで、再び黙々と手と口だけを動かしていく。
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